2025 AUTOBACS SUPER GT Rd1 Okayama

Yuki Nemoto
AUTOBACS SUPER GT
Rd1 Okayama Race Report

■Introduction

 4月12日(土)〜13日(日)、根本が今季参戦するオートバックス SUPER GT 2025シーズンの開幕戦が、岡山県・岡山国際サーキットにて開催された。

 予選日は、“晴れの国おかやま”の名にふさわしい快晴に恵まれたが、決勝日は一転して朝から小雨がぱらつく天候に。レースが進行するにつれて路面は徐々に乾いていき、路面状況が刻々と変化する難しいコンディションとなった。

 さらに、赤旗中断を伴う大きなクラッシュや、フルコースイエロー(FCY)、セーフティカーの導入など、波乱含みの展開に。2025シーズンの行方を占うかのような、予測不能な幕開けとなった。

 当初、今季のレギュラードライバーとして登録される予定だったオリバー・ラズムッセン選手が、先日のスーパーフォーミュラ合同テスト中に負傷。そのため、リザーブドライバーとして登録されていた根本が、開幕戦にてBドライバーとして出場することとなった。

■Qualify:18th

 現地時間4月12日(土)14時、気温21度、路面温度36度という、この時期としては比較的高いコンディションの中で予選が行われた。

 31号車はQ1・A組に出走し、根本がステアリングを握ってQ2進出を目指す。今シーズンのSUPER GTでは、昨年一部レースで試験導入された合算方式は廃止され、従来通りQ1の上位マシンのみが、ポールポジションを含む上位18台を決定するQ2へと進出するルールが適用されている。

 31号車 apr LC500h GTは、予選に先立って行われた練習走行中に電装系トラブルが発生し、走行時間を大幅に失っていた。さらに、公式テスト時とは大きく異なるコンディションにより、用意していたセットアップとのマッチングにも課題が残る中、Q2進出の確実性を重視し、Q1は根本が担当することとなった。

 昨年は、性能調整による車両重量の増加によりタイヤとの相性に苦しみ、エースドライバーの小高がQ1敗退を喫する悔しい結果に終わった。しかし今季は、レギュレーションの変更により昨年よりも大幅に軽い車両重量での出走が可能となった。限られた走行時間の中で、根本は1分26秒543のタイムを記録し、31号車を無事Q2へと進出させた。

 Q2では、根本からステアリングを引き継いだ小山がアタックを担当。ウインターテストでは未使用だったレーススペックのブリヂストンタイヤを装着し、予選に臨んだ。

 これが小山にとってapr LC500h GTでは初めての予選となり、新品タイヤでのアタック経験は限られていたものの、これまでに幾度かシミュレーションは行ってきた。しかし、公式練習で十分にセットアップを詰め切れなかったことや、本スペックのタイヤでのアタックは初であったことも重なり、満足のいくマシンバランスには仕上がらなかった。

 最終的に記録したタイムは1分25秒981。トップからは1秒以上離されたが、予選18番手を獲得し、開幕戦決勝へと繋がるポジションを確保した。

■Race:22th

 前日のさわやかな快晴から一転、決勝日朝方には雨が残り、難しいコンディションでのレーススタートが予想された。サポートレースが行われなかったこともあり、コース上には水たまりや川があちこちに残り、さらに路面温度も低いため、タイヤや車両セットアップに大きな影響を与えることとなった。これを受けて、GTAはセーフティカー先導でのスタートを決定。

 気温11度、路面温度15度という非常に寒い環境の中、午後1時10分に300kmレースが始まった。31号車 apr LC500h GTは、後半に雨が上がるという予報を受け、レインタイヤの中でもハードコンパウンドを選択。しかし、この選択がまさかの事態を引き起こすこととなる。セーフティカー先導の低速走行中、タイヤのウォームアップに苦しみ、スタート直前のヘアピン立ち上がりで痛恨のスピンを喫してしまったのだ。このスピンによりポジションを大きく落とし、最後尾まで後退した状態でレーススタートを迎えることとなった。

 そしてスタート直後の1コーナーではGT500クラスでの多重クラッシュが発生。31号車はスタートでは出遅れたものの、クラッシュによる赤旗中断や再度のセーフティカー導入など、波乱の展開に助けられる形となった。車両回収が終了し再スタート後、根本は猛追を開始。ハードタイヤへの熱入れは難儀を極めたが、タイヤがようやく作動温度域に入ると、その本来のペースを発揮。次々と前車をパスし、ピット戦略やタイミングの違いもあったものの、終盤には一時8番手までポジションを回復する快走ぶりをみせた。

 45周目に根本から小山へドライバー交代。この時点で路面は徐々に乾き始めていたものの、ピットイン直前にはフロントウィンドウにまだ雨粒が残っていたため、タイヤ交換は行わず、給油とドライバー交代のみの作業でピットを離れた。小山は慎重な立ち上がりを見せつつも、すぐにダンプコンディションに対応し、安定した走りを続けた。

 その後、ドライタイヤでの走行が可能と判断し、再度ピットイン。残り周回数を見据え、新品ソフトコンパウンドのスリックタイヤへ交換してコースへと復帰する。しかし、この新品タイヤ×ダンプ路面という条件下での走行は小山にとって初めての経験。同じブリヂストンタイヤを履くライバル勢と比較して、アウトラップから数周にかけてタイムが伸びず、ポジションを大きく失うこととなった。

戦略の違いもあるなか、一時は8番手まで浮上していた31号車だったが、終盤にかけて順位は23番手まで後退。周回遅れとなったことで、ポイント圏内である15位以内のフィニッシュも難しくなり、チームは他車との接触などトラブルを避けながら、完走を最優先に残り周回を走りきった。最終的には他車のペナルティによる順位変動を受け、22位で開幕戦を終えた。

大波乱の幕開けとなった岡山ラウンド。GT300クラスは、65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が優勝。2位には26号車 ANEST IWATA RC F GT3(イゴール・オオムラ・フラガ/安田裕信)、3位には56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)が入った。

■根本コメント:

「今週は練習走行中のトラブルや、持ち込んだセットアップの修正作業に追われ、例年以上に慌ただしいスタートとなってしまいました。予選に向けてチームとともにトライした新しいセットアップが機能してくれて、無事Q2に進出することができたのですが、チームのみんなが必死に積み上げてくれた流れを、SC中の自分のスピンで台無しにしてしまったのは、本当に悔やまれるミスです。一日経った今でも気持ちの整理がつきません。赤旗や2度目のセーフティカーによって再びチャンスをもらいましたが、自分のミスで大きく順位を落としてしまったことを、チームや関係者の皆さんに申し訳なく思っています」

「再スタート後のスティントでは、ブリヂストンタイヤとapr LC500h GTの持つポテンシャルを、ある程度引き出すことができたと感じています。最後尾からの追い上げのなか、戦略の違いはあったものの、コース上で数多くのオーバーテイクを決めて一時は8番手まで浮上することができたのは、スピンで失った自信を少し取り戻すことができた瞬間でもありました」

「上位へと戻ったあとは、いかにしてポイントを持ち帰るかを意識して走っていましたが、自分のスティントをもう少し伸ばして、小山選手をそのままドライタイヤで送り出す判断ができていれば、また違った展開になっていたかもしれません。スピンの原因を含めて、今回のレースは本当に多くの学びがあった一戦でした」

「小山選手へバトンを渡した後は、使い切ったレインタイヤから、ダンプコンディションで新品のドライタイヤへ切り替えるという非常に難しい状況でした。無線トラブルもあり、十分なコミュニケーションが取れないなかでも全力で走ってくれましたし、チーム全体としてもまだまだ伸びしろのある内容だったと思います」

「大混乱の開幕戦のなかで、完走できたことはひとつの安心材料となりました。次戦・富士ではよりスムーズで一貫性のある週末を迎えられるよう、事前準備を徹底し、LC500h GT初の勝利に向けてチームとともに全力で挑んでいきます」

▼来場者数公式発表
4月12日(土)未発表(晴れ)
4月13日(日)未発表(雨)
大会総入場者数 未発表

◆REPORT PDF
Borderless:準備中
SuperGT:【第1戦 岡山:決勝日】GT300レビュー:荒れた展開の中で菅波と蒲生が追い上げをみせたLEON PYRAMID AMGが見事な逆転優勝を飾る

◆Photo Gallery
https://www.yukinemoto.com/gallery/2025-sgt-rd1/
All shots by @kakophotography

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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