Fanatec GTWorldChEu pwrd by AWS Sprint Cup Rd1 Brands Hatch

Yuki Nemoto
Fanatec GTWorldChEu pwrd by AWS Sprint Cup
Rd1 Brands Hatch Race Report

■Introduction

 5/13(土)~5/14(日)に根本が今年フル参戦するファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワードバイAWSの開幕戦が、イギリスのロンドンにほど近いブランズハッチ・サーキットにて開催された。

 ここブランズハッチは1950年に開設され今なお各メジャー大会が開かれる歴史のあるサーキット。それゆえパドックの広さに制限があり、今大会はプロアマ及びアマクラスは開催されず、プロクラス・シルバーカップ・ゴールドカップの3カテゴリー計29台のエントリーとなった。

 根本は今年、これまでランボルギーニと様々な功績を残してきたロルフ・イネイチェンを相方として迎えることとなった。ジェントルマンドライバーのひとりであるロルフだが、その速さが認められブロンズカテゴリーではなく、シルバーカテゴリーに属する異例のドライバーだ。FIAに準じたカテゴリー分けを採用するSROイベントである本大会では、根本とロルフはシルバーカップを戦うこととなった。

 ここブランズハッチはロンドン郊外、ケント州に位置する全長3.7kmのショートサーキット。ジェットコースターのような起伏を備えたレイアウト、コース幅の狭さ、そしてグラベルエリアが少なく壁との距離が非常に近いことから、ドライバーにとって最もチャレンジングで過酷なサーキットの一つとして知られる。根本とロルフは当週末が初走行であり、経験の少なさをいかにカバーし上位で戦えるかが注目される一戦となった。

■Qualify:Q1-5th Q2-8th

現地時間13日15時55分、ブリティッシュウェザーとはどこへ行ったか、気温は12度と未だ低いながらも晴天に恵まれた中、決勝のスターティンググリッドを決する公式予選が行われた。GTワールドチャレンジ・スプリント選手権ではQ1のリザルトがレース1のスターティンググリッドへ、Q2のリザルトがレース2のスターティンググリッドとなるレギュレーションとなっており、それぞれ担当したドライバーが各レースのスタートを担当する。

 また開幕戦は新品タイヤが6セットに制限されており、練習走行でや予選でどのように新品タイヤを投入していくかという戦略性も問われる。根本は練習走行1回目に1セット、2回目の終盤にロルフ選手が1セット投入し、残り4セットを残して予選に挑んだ。

 予選1回目、根本はまず練習走行2回目で投入したフレッシュなユーズドタイヤで真っ先にコースイン。練習走行2回目からのセットアップ変更点を確認し、2回目のアタックに備えた。そしていよいよ新品タイヤを投入しタイヤをウォームアップ、アタックに入ろうかというところでピットアウトしてきた111号車 JP MOTORSPORTS マクラーレンに2コーナーで行く手を阻まれてしまう。更にその次の周には8コーナーで発生したストップ車両回収のため赤旗が提示されてしまい、新品タイヤでの唯一のアタックチャンスを逃してしまった。

 赤旗中タイヤをヒーターに入れられず車両に装着したまま待機したため、再開時にはかなり温度が低下してしまっていた。根本はスーパーGTで学んだコールドタイヤのウォームアップ方法を取り入れながらなんとか最後のアタックに向け熱入れを行い、唯一のアタックラップで1分24秒035を記録。クラス5番手につけた。

 予選2回目を担当したロルフはまだコース自体への完熟が足りず、なるべく多く周回数をこなすことでタイムアップを狙った。コンディションが急激に向上したこともあり、最終的には1分25秒151を記録、8番手を獲得した。

■Race1:4th

 1時間のスプリントレースで争われる本選手権。今大会は土曜日に練習走行と予選を行い、決勝レース2回を一気に日曜日に行うという変則的なスケジュールで実施された。レース1でクルマを大きく壊してしまうとレース2に影響がでるということもあり、全車クリーンなスタートを見せレース1がスタートした。

 根本はバレンティーノ・ロッシが駆る46号車の真後ろでスタート。リスクは取らずとも、チャンスがあれば前をうかがう姿勢で前半セクターをこなすと、前が姿勢を乱した一瞬のスキをついて6コーナー立ち上がりでイン側に鼻先をねじ込む。しかしここで46号車に大幅な幅寄せをくらい、コース外に押しやられやむなくバックオフ。最終的に順位を上げることなくオープニングラップを終えた。

 ここから今週末、パドック内で大きく話題になった”BMWトレイン”に根本もひっかかってしまうことに。異なるメーカーのパフォーマンスを均一化する目的で導入されているBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)の仕様から、BMWのトップスピードが我々ランボルギーニより11km/hも速く、またインフィールドセクションのコースの狭さも相まって、まったく抜けない状況となってしまったのだ。当然チャンスがあればとタイヤ管理をしながら時を待つも、そこは世界最高峰のレース、中々ミスを誘発することは難しい。ここで監督と根本は作戦を切り替え、全車がピットインしてる間に猛アタックをし、ライバルをオーバーカットする作戦に出た。前のBMWがピットウィンドウが開くと同時にピットインすると、そこから根本は猛チャージを開始。それまで1分26秒台で蓋をされていた状況から、前が開けたことで1分25秒5を連発。ピットインしロルフに代わると、クラス2番手へと一気に順位を上げることに成功した。

 ここからどこまでロルフ選手が順位を落とさずに耐えられるかというチャレンジとなったが、レース後半に77号車に8コーナーで追突されてしまう。姿勢を乱しつつもなんとかコース上にとどまったロルフだったが、続く1コーナーでも右リアを接触されてしまい、スピンを回避するために大きく順位をおとしてしまった。

 最終的に163号車は総合23番手、クラス4位でレース1を終え、チャンピオンシップ獲得に向け大事なポイントを持ち帰った。

■Race2:6th

 現地時間14日16時、レース1よりも更に気温・路温ともに上昇し、イギリスらしからぬ快晴の中、レース2が行われた。総合28番手からロルフ選手がアグレッシブなスタートで順位を上げると、集団の速いペースに負けずしっかりと前走車にくらいついていく。しかし3周目、今度は28号車NOVA RACE ホンダに5コーナーで右リアを接触されスピン。見事な車両コントロールでバリアへの衝突は避けられたものの、集団の後方へと大きく順位をおとしてしまった。

 ここでラッキーなことに高速コーナーである8コーナーで停止車両が発生したことに対するFCY(フルコースイエロー)そしてセーフティーカーが導入され、失ったタイムロスを最小限に抑えることができた。レース再開後ピットウィンドウが開くと共に根本にドライバー交代。今度はアンダーカットを狙ってプッシュを開始した。

 ピットアウトし一周目となるアウトラップをチーム最速でこなすと、そこから新品タイヤのグリップを最大限活用し1分25秒1を連発し全力でプッシュするが、惜しくも数周後にピットアウトしてきた90号車MADPANDA MOTORSPORTに行く手を阻まれてしまうことに。レース1同様、なんとか抜きすじを探そうとするが、90号車を先頭にトレイン状態となってしまった。レースも残り10分を切ったところで、周回遅れと交錯したタイミングをチャンスと見て猛アタックを仕掛けるも、1コーナー立ち上がりで根本の後ろにつけていた99号車アウディが根本の右リアに接触、そのまま2コーナーでプッシュされる形となりオーバーラン。ここで順位を2つ落としてしまう。レース終盤改めて1分25秒台で前を追うも、オーバーテイクを仕掛けるには至らず、最終的に総合22位、シルバーカップ6位でレースを終えた。

■根本コメント:

「GTワールドチャレンジという世界で最もタフなレースの一つと名実高い選手権に今年も参戦することができてとても嬉しく思います。まずはランボルギーニ・スクアドラ・コルセ、所属チームであるVSR、スポンサー様や応援してくださるファンの皆さまに感謝致します」

「今週末はドライバー二人ともサーキットを走った経験がなく、またランボルギーニとしてもEvo2でのデータが不足する中での戦いでした。FP1からクルマの動きに不安な点がいくつかあり、それをチームやランボルギーニと共にどうしたら解決できるか?を全員で懸命に取り組み、最終的にしっかり戦えるところまでドライバーとクルマのレベルをもっていけたことはとてもポジティブだったと思います」

「予選中の赤旗や決勝での接触など、珍しく多くの不運に見舞われた週末でしたが、レース中のクリアエアーでのアベレージラップタイムは非常に力強く、エンジニアリングの能力と特にロルフ選手の適応能力の高さを証明することのできた週末になったと思います」

「一方で、ブランズハッチのような抜きにくいサーキットで他車と戦おうとしたときには、まだまだクルマのポテンシャルを最大限引き出せていない現状もあるので、次戦のミザノに向けてはドライバビリティとオーバーテイクのしやすさの両立という面で改善していきたいと思います」

◆REPORT PDF
Borderless:coming soon
VSR:https://www.yukinemoto.com/en/report/pdf/230514-VSR-GTWCS-Rd1.pdf

◆Photo Gallery
https://www.yukinemoto.com/gallery/2023-gtwcs-rd1/
All shots by @kakophotography

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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