Yuki Nemoto
Fanatec GT World Challenge Europe Powered by AWS Endurance Cup
Rd.5 Barcelona Race Report
■Introduction
9月29日~10月2日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS・エンデュランスカップ(GTWCEエンデュランスカップ)の2022年シーズン最終戦がスペインのカタルーニャ州バルセロナの北部のムンマローにあるカタロニア・サーキットで開催された。
F1スペイングランプリの開催地でもあるカタロニア・サーキットは、バルセロナの中心地からのアクセスの良さから毎年多くの観客が訪れることで知られている。チームとしても昨年のGTOPENでチャンピオン獲得を決めた地であり、またランボルギーニ・スーパー・トロフェオでも数多くの功績を残していることから今大会への期待が寄せられた。
根本個人としてもここまで順調にそのポテンシャルをランボルギーニ・スクアドラ・コルセへ見せつけてきたが、GTワールドチャレンジの最終戦となる今大会でより一層成熟した姿を見せ、来年の契約獲得へ向け好材料となるような一戦とすることが求められた。
■Qualify : 12th Silver
現地時間2日午前9時、気温15.7度、路面温度16.6度と前戦ホッケンハイムより更に冷え込んだコンディションの中、予選が行われた。GTWCEエンデュランスカップでは3名のドライバーがそれぞれアタックし、3名の記録したベストタイムの平均で決勝のスターティンググリッドが決定される。
563車のQ1はベレッタが担当し、1分46秒175を記録しクラス12番手を記録。冷え込んだサーキットでタイヤのウォームアップ不足やグリップを引き出すことに苦戦し、チームメイトの163号車ムーラン選手の後塵を拝すことになってしまう。
Q2を担当した根本はアウトラップから積極的なウォームアップを行い、計測2周目にアタックを開始。今季は予選でタイヤのピークグリップを最大限に引き出すセットアップを積極的に取り入れており、アタックのチャンスがまさに1周しか得られないことから、いかにタイミングを合わせてベストなコンディションでアタックに入れるかが腕の見せ所となる。根本はアタックラップの最終セクターで若干のグリップダウンに見舞われたものの、渾身のアタックを見せ1分45秒091でクラス3番手を記録した。
Q3を担当したハイツはベレッタと同様にタイヤのウォームアップに苦戦。ピークグリップを引き出すことができず、1分46秒175でクラス12番手にとどまった。これにより平均タイムで争われる最終リザルトでは総合33番手、クラス12番手となった。
YouTube:LIVE | Qualifying | Barcelona | Fanatec GT World Challenge Europe Powered by AWS (English)
■Race : 8th Silver
3時間で行われる今大会、スタート時の強さに定評のあるハイツ選手が最初のスティントを担当し、その後戦略的に一番タフだとされるミドルスティントで根本を投入、そして最終スティントをベレッタ選手が担当した。
48台で争われた今大会。オープニングラップは全車接触なくクリーンに終えると、ハイツ選手は直ぐに果敢なアタックを見せ27位へジャンプアップ。その後も安定して1分49秒台半ばで周回し、順調にポジションを上げていく。スティント終盤にはシルバーカップ10番手へ押し上げ、根本へ交代した。
32周目にクルマを受け継いだ根本のスティントはまさに”我慢の一時間”となった。34周目に563号車のファステストラップとなる1分48秒165を記録すると、その後もコンスタントに1分48秒台半ばを刻みながら前の車両を追う。根本はシルバークラスの表彰台争い集団に追いつくことに成功するものの、ワンミスをも許されないハイレベルな戦いの中でオーバーテイクのチャンスを見出すことができずにポジションキープに専念。それでも入念なタイヤマネージメントの成果か、ライバル車がタイヤのデグラデーションに苦戦し始めた54周目にクラス7番手、総合20番手へ順位を上げた。その後ピットストップの戦略差はあるが、今シーズン初めてのシングルポジションとなる総合8番手を走行した。
最終スティントを担当したベレッタ選手は途中FCYやセーフティーカーが導入されるなど波乱のレースとなったが、その中でも安定した走りを見せ無事フィニッシュ。クラス7番手、総合でも18位とトップ20に食い込み、最終戦にて今シーズン一番のレース運びを見せた。
YouTube:LIVE | Main Race | Barcelona | Fanatec GT World Challenge Europe Powered by AWS (English)
■根本悠生 コメント
「ここバルセロナは僕自身も何度もテストやレースで走行経験のあるサーキットで、新レイアウトもチャレンジングでとても好みです。今シーズンは特に予選でタイヤのピークパフォーマンスを引き出すことを一番の課題として戦ってきたので、最終戦という一番大事なレースでしっかり結果を残せたことをとても嬉しく思います。ただトップチームと比較するとまだまだ伸びしろがありますし、今後は走りの面でもさらにスムーズに速く走れるよう心掛けて練習に取り組んでいきたいと思います」
「一番タフなミドルスティントを任せて頂き、監督の想定通りシルバーカップの表彰台争いの集団の中で戦うことになりました。本当に一つのミスも許されず、また速いポイントの異なる他社メーカーのクルマを上手く抑えていく必要がありましたが、これまで以上に力強く戦うことができたのではないかなと思います。GT3に乗り始めて3年目ですが、これだけ長い間、集団の中で戦い続けることは無かったので精神的な強さが求められた一戦でした。アベレージラップでは全ドライバーの中でも比較的上位に食い込むことができ、また僕の強さの一つである安定性は今大会でも存分に発揮することができたのでとても良かったです。」
「まず初めに、GT選手権の頂点と言われるGTワールドチャレンジ・ヨーロッパへの挑戦を支えて下さったスポンサー様そしてファンの皆様、一年間ありがとうございました。競争が激しく、接触をもいとわない厳しい選手権ではありますが、ここで一年間学ぶことができたという経験が僕自身を更に強いレーシングドライバーにしたと確信しています」
「今シーズンの目標であった表彰台獲得には及びませんでしたが、一年間を通してドライバーとしてもチームとしても格段にレベルアップできたと感じていますし、モータースポーツ部門のトップであるサンナ氏からも良い戦いをしてくれたと太鼓判を頂くことができたのがとても嬉しく、また大きな自信になりました」
「来年またこの地に戻ってこられるかはまだ分かりませんが、引き続きVSRそしてランボルギーニ・スクアドラ・コルセと共に、世界で活躍するGTドライバーとなれるよう頑張ります。今シーズンもたくさんの応援をありがとうございました」
REPORT PDF
日:https://www.yukinemoto.com/report_/pdf/BDL-PR-221004.pdf
英:https://www.yukinemoto.com/en/report/pdf/221004-VSR-GTWCE-Rd5.pdf
フォトギャラリーはこちら