AUTOBACS SUPER GT Rd3 Suzuka

Yuki Nemoto
AUTOBACS SUPER GT
Rd3 Suzuka Race Report

■Introduction

 6/3(土)~6/4(日)に根本が今年参戦するAUTOBACS SUPER GTの第3戦となるSUZUKA GT 450km RACEが、晴天に恵まれた鈴鹿サーキットにて開催された。

 第2戦富士では予選で2番手を獲得し、決勝では一年半ぶりとなるポイント獲得を実現。その後行われたGTエントラント協会による鈴鹿サーキットでの非公式テスト(以下:GTEテスト)でも好調な様子を見せていただけに、今大会での良い結果が期待される。

 今大会はシーズン2回目の450kmロングレースとなり、レギュラードライバーの嵯峨宏紀/小高一斗に加え根本がを加えた3名で戦う。

■Qualify:Q1-1st Q2-11th

 現地時間3日15時05分、気温25℃路面温度40℃と過ごしやすい天候の中、決勝のスターティンググリッドを決する公式予選が行われた。スーパーGTでは参戦台数が多いことからグループA・グループBに分けられた上で予選1回目、Q1を実施。それぞれのグループの各上位8台が、決勝のスターティンググリッドを決めるQ2へ進出しポールポジションを争うレギュレーションとなっている。前大会で第3ドライバーである根本がQ1を担当したこともあり、今大会ではQ1で小高選手、Q2で嵯峨選手を起用。引き続きQ1突破、そして決勝に向け良いスタートポジションの獲得を目指した。

 練習走行では以前のGTEテストで使用したセットアップをベースに、当週末のコンディションに合わせた微調整を実施。そして後半にはCNF燃料を使用した際のトラックエボリューションに対したセットアップ変更も行い、予選そして決勝に向け入念に確認作業を行った。

小高選手が担当したQ1ではハードタイヤを投入。他車よりも優れたウォームアップを見せ、3周目にアタック開始。ここで記録した1分57秒084を超える者が現れず、Q1Aをトップタイムで通過して見せた。一方嵯峨選手が担当したQ2では、様々な事情からソフトタイヤを投入。周囲が強烈なトラックエボリューションの好影響を受け大幅にタイムアップを実現する中、2種類の異なるタイヤコンパウンドを使用したこともあり、ソフトタイヤでのクルマのバランスに苦戦。グリップが向上したことにより深刻なアンダーステアが発生、嵯峨選手はQ1の小高選手のタイムに匹敵する1分57秒134を記録するも、11番手でQ2を終えることとなった。

■Race:13th

 前大会に引き続き450kmというロングレースとなった今大会では、タイヤを1回のみ交換するのか?はたまた2回交換し、追い上げるのか?どちらの戦略を選択するのかがカギとなる。スーパーGTでは決勝のスタートタイヤが抽選により決められるが、土曜日より気温/路面温度が上昇した一方で、選ばれたのはQ2で使用したソフトタイヤ。今大会で投入したソフトタイヤは事前にロングランでの性能試験ができておらず、その状況でタイヤ1交換というのはかなり博打になってしまうことから、基本的にはタイヤ2回交換を前提とし、状況に合わせて臨機応変に対応していくこととした。

 現地時間4日13時30分、気温28℃路面温度41℃、予選よりも更に強い日差しがサーキットへ降り注ぐ中、450キロレースがスタートした。全車クリーンなスタートを見せると、早速2周目に7号車BMW、52号車埼玉トヨペット、5号車マッハがピットイン。今大会で課せられている給油義務2回のうち1回目を消化するため、タイヤ交換を行わず短時間の給油のみ行う通称“スプラッシュ”を行いコースへと復帰した。翌3周目には2号車mutaも同じくスプラッシュを行った。

 すると7周目、18号車アップガレージの右リアタイヤをとめるナットが外れ、タイヤが脱輪してしまうトラブルが発生。タイヤ及び車両がヘアピンカーブでコース上に停車してしまったことから、車両回収のためにセーフティーカーが導入された。これにより、隊列が一気に縮まり、先にピットインしていた上記4台がピットストップ1回分まるまる得をする形となり、31号車は不運にも実質表彰台争いからは脱落してしまうこととなった。

 セーフティーカーランが終了しレース再開となった13周目に一度目のピットインを敢行。ソフトタイヤからハードタイヤへと交換し、集団とは離れた位置でプッシュし前とのギャップを詰めていく作戦に出た。しかしこのピットストップに関してレース中には気付くことのできなかった大きな落とし穴があった。タイヤ交換のスピードか、給油量の多さか、もしくはウォームアップに時間がかかっているのか。詳細な原因はこのレポートを記している現在も究明中ではあるが、ピットに入る度に10秒~15秒他車と比較してタイムを失っていたのだ。1度目のピットストップを終えた段階で、ピットスタートだった同じaprの兄弟車である30号車へ先行を許したのも、このピットストップ関連の大幅なタイムロスが響いてしまった結果となった。

 小高選手の第2スティントでは序盤は安定したラップタイムを刻み、4号車と56号車の15番手争いに加わると、抜きつ抜かれつの激しい争いを繰り広げた。JSPORTSの配信ではご覧に入れることができなかったが、次戦以降はこういった戦いを上位で見せることで配信でもクローズアップして頂けるようにしたいところだ。

 38周目に二度目のピットインを実施し根本に交代。ここでも引き続きハードタイヤを投入し追い上げを目指したが、一つ誤算が生じた。15時を超えたあたりから日が陰りはじめ、気温/路面温度ともに下がっていく状況になっていったのだ。ハードタイヤで想定されている路面温度の下限ギリギリという状況となり、思うようなグリップレベルを得られない状況となってしまった。

 それでも根本は前を行く244号車MAX RACINGや360号車RUNUPからなる集団の中でチャンスを伺いながら2分2秒台の安定したラップを刻むと、GT500の集団が絡んだ52周目の130Rからヘアピンにかけて、上記2台を上手くオーバーテイクすることに成功。スーパーGTならではの混戦のなかで、順調に経験を積むことができている様子を見せた。

 そして54周目、悪夢の130Rの事故へとつながる。シケイン手前でGT300クラスの車両と交錯したGT500クラス23号車NISMOの松田次生選手が、コース右側のバリアへほぼ減速する間もなく激突。マシンはモノコックを残して大破し、セーフティーカーが出された後に赤旗が掲出された。事故現場のバリアだけでなく、デブリの飛散を抑えるためのフェンスまでもが折れ曲がってしまい、その後の安全を確保できないことから、レースはこの赤旗をもって終了となった。なおその後松田選手はドクターヘリで病院に搬送された後、大きな外傷はなく、現在ではICUから一般病棟に移り既にリハビリを開始していることがチーム及び本人のSNSで公表されている。

 他チームがタイヤを1回交換で済ませる中、2回交換を選択した31号車。他よりも若いタイヤで、いざこれから追い上げをというタイミングでの不運の赤旗となってしまった。最終的に31号車は予選順位から順位を2つ下げ、13位で決勝を終えた。

■根本コメント:

「まずは改めて国内最高峰レースであるスーパーGTへ、名門チームであるaprより第3ドライバーとして参戦できていることを嬉しく思います。スポンサー各社様、個人スポンサーの皆様そしてファンの皆様に感謝致します」

「前大会の富士の直後に開催されましたGTEテストにて、車両開発に注力していたため走行量自体は多くなかったものの走行の機会を頂いて、そこでの経験とデータを基に今大会に向けてしっかり準備できたところが、決勝での安定したペースへと繋がりました」

「今回のチームとしての一番の懸念点は、今大会で投入したソフトタイヤでのロングランデータ不足、そしてコンディション変化への対応という二点だったと思います。LC500hという新造車ということもあり、一歩一歩着実にデータを収集して、まずは安定した戦略で結果を残すというところを目標にしているので、今大会のようなSCや赤旗が多いレースでは結果にコミットするのが非常に難しかったです」

「とはいえそういった戦略を取ったからこそ見えてきた課題や欲しかったデータをしっかり収集することができたのは、今後に向けて大きな力になったと思います。目先の勝利だけでなく、シーズンを通して前方のフィールドで戦えるようにチーム全員が頑張っている状況なので、今のこの努力が後半に向けて少しずつ実っていけるよう、ドライバーとしても精一杯頑張ります」

「次戦は改めて富士での開催となり、前回とは比較にならないほど暑くなると予想されます。実は富士から鈴鹿に来る際に、クルマのセッティングに関してかなり大きな変更を施しています。この新しいセットを富士で走らせたときにどうなるか?これもまた楽しみなので、是非期待して頂ければと思います」

▼来場者数公式発表(決勝日14:30時点)
6月3日(土)11,000人(晴れ)
6月4日(日)22,000人(晴れ)
大会総入場者数 33,000人

◆REPORT PDF
Borderless:準備中
SuperGT:https://supergt.net/news/single/22623

◆Photo Gallery
https://www.yukinemoto.com/gallery/2023-sgt-rd3/
All shots by @kakophotography

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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